個別での情報管理が効率化の足かせになっていた
SONRの導入のきっかけとなったのは、どんな課題だったのでしょうか?
現場における情報共有方法に限界を感じていたことがきっかけです。
MIRAIではグループ各社が協力して全国への物流を提供しているため、より良いサービスの提供には各社の垣根を取る動きが必要でした。
業務の効率化に向けて色々な取り組みを行っていたのですが、その過程で、配送貨物の振り分け拠点と配車の拠点をフラットにつなぐ連絡手段が必要となっていたんです。
具体的にはどのような状況だったのですか?
業界柄、配車係は「自分の荷物」「自分の車」という意識がとても強く、今自分がどんな荷物を預かっているかなかなか他に開示しない傾向があります。それが非効率な配車にもつながっていました。
対策として、これまで個々に動いていた愛知県と岐阜県の事業所を1カ所に集め、配送貨物の振り分けを一元化しました。今ある配送貨物の情報を配車係にすべて開示してもらうことで配車件数の大幅な効率化を実現することができました。
しかし、愛知と岐阜の各事業所にいた配車係が1カ所に集まったことで、今まではできていた配車係と現場の直接のコミュニケーションが取れなくなりました。次は離れた場所にいる配車係との情報共有が課題になったのです。
配送貨物の振り分け拠点が離れたことで、配車係とのコミュニケーションに時間がかかったり、伝えたと思ったことが伝わっていないということが起きるようになりました。
こうした課題をなんとかしようと思い、個人向けチャットサービスや大手ビジネスチャットサービス、e-mailなどあらゆるコミュニケーションツールを試しました。ただこうしたツールでは、少し目を離している間にあっという間に通知が溜まってしまい、確認漏れも増えてしまいました。
そこで、弊社のニーズに合うコミュニケーションツールは何かないかと色々探していた時にSONRを知ったのです。
業務の効率化を進める上で生じた新たな課題を解決するために、色々なコミュニケーションツールを模索されていたのですね。
SONRを導入して、どんな変化を感じていますか?
遠く離れた事業所にも連絡がしやすくなっただけでなく、事故に関する緊急度の高い連絡も滞りなく行えるようになったことは大きな変化です。
物流において1番大切なのは安全です。交通事故や荷物の事故、こうした事故が起きないよう細心の注意を払って業務を行っているのですが、それでも事故が起きてしまうことはあります。その場合はスピード感が大切になります。
事故発生時には現場から事務所の担当者に第一報が入ります。以前は担当者が別業務で立て込んでいると、すぐにメッセージが確認できず、対応に時間がかかることもよくありました。
当初導入していた個人向けチャットサービスでは、関係者が増えるごとに通知が多くなりメッセージの確認漏れも目立つようになってしまいました。
緊急度の高い連絡が埋もれてしまうことが多かったのですね。
はい。SONRはボードごとに案件が分けられるので、事故連絡のように緊急度の高い要件は優先的に確認できます。また直接の担当者の手が塞がっている時でも、情報の横展開がしやすい。
「了解ボタン」も便利で、ボタンひとつで「了解しました」というメッセージの代わりになる点もいいですね。通知過多にならないので、必要な情報がスピーディーに確認できます。
印象に残る、SONR上でのやり取りはありますか?
直近で報告を受けているのが、事故を未然に防いだケースです。事故になりかけた時に、SONR上で関係者がスピーディーに解決策を提示したことで事故にならずに済んだ、と。通知過多にならないSONRで、スピーディーにやり取りができる体制ができていたことで、ドライバーと関係者がやり取りをしながら事態をいい方向に切り替えられたと聞きました。
以前は限られた担当者の間でしか事故情報が共有されていなかったのですが、現在は事故情報はクループ会社の垣根を超えて全員が見られるようにしています。
事故対策のノウハウも蓄積できますね。
そうですね。限られた担当者だけでの情報共有では、分析しきれなかった事故の原因も、現在はグループ会社の別のドライバーが「これが原因ではないか」と指摘するケースも増えました。
以前よりも一歩踏み込んだアプローチができるようになっています。
SONRで事故情報も共有するようになってからは、現場を含めた意識も変わってきたように感じますね。
御社は「MIRAI」として5つのグループ企業、高見起業、タイホー荷役、翠星、みらい、山大運輸がお互いに協力しながら物流ソリューションを提供しています。それぞれの企業はどのような関係性になっているのでしょうか?
資本の関係でいうとどうしても上下関係があるのですが、私が全社に共有していきたいメッセージの一つとしてあるのが「基本的にはみんなフラット」という想いです。
各社役割が少しずつ違うため、株式会社みらいが大きな方向性を示すのですが、各社が各自の役割を生かしつつ全社共通の目標に向かっていく形が徐々に浸透してきました。
歴史の長い企業や業界では、フラットではなく上下関係を好む企業も多いと思います。御社は創立から長い歴史もありますが、敢えてフラットな関係性を示していきたいという背景には、どのような意図があるのでしょうか?
我々の業界は、どちらかと言うと上下をはっきりつけたがる人が多い。役職名で人を見がちな人も多かったり……。しかし、こうした上下関係が実務を難しくしてしまう原因になることも多いのです。
便宜上、弊社も「MIRAIグループ」という表記をしたり言葉を使う場面もあるのですが、実は私自身がグループという言葉があまり好きではなくて。というのもグループ会社と表現すると、上下関係が生まれがちになります。
そうではなくて、「グループの他の会社でも、後で入社した人でも、ドライバーも事務員もみんなフラットですよ」と伝えています。
年功序列などの上下関係で判断するのではなく、ひとりの人の集まりとしてフラットな関係の構築を進められているのですね。
はい。全社への浸透までにまだ苦労していますが、努力を続けています。創業50年以上経つので、かつてのトップダウン体制からの移行を進めているところです。
例えば、人の呼び方も「社長」「部長」という役職ではなく、どんな方にも「さん」づけにしましょうと呼びかけています。
また、上下関係意識などによる「これはちょっと違うな」というコミュニケーションをSONR上で見かけたら個人宛のメッセージで知らせるようにしています。
個人宛にそっとお知らせするのですね。代表者が影で支えてくださっていると、いわゆる弱者となりがちなスタッフも安心して働けますね。
会社の垣根を超えたフラットな協力体制を訴求するために、SONRをどのように活用してますか?
毎日、私の考えを全社員宛に一斉配信しています。
こんな考えで仕事をしているとか、読んだ本の一節を引用して私が感じたことを展開したり。ドライバーなど長い休憩が取れない人でも読みやすいような長さで書くようにしています。
1年365日、土日も休みなく発信しています。
365日とはすごいですね!遠く離れていても共通した意識を浸透させるきっかけになりますし、特に役職者でない方にとっては代表の考えを直接聞ける機会は貴重ではないかと感じます。
ありがとうございます。ドライバーは夜中に走行していることも多いですし、現場も毎回違います。ですから、同じ会社であってもすべてのスタッフといつも直接話せるわけではありません。自分の考えをみんなに伝えていきたいと思った時に、SONRのプラットフォームは最適でした。
了解ボタンがあるのもいいですよね。メールですと、発信者が送って終わりで手応えを感じられない時もあると思うんです。
SONRなら、了解ボタンでメッセージへの反応がわかりやすい。ただ、話題が難しすぎたり、面白くなかったのだろうなという時は了解ボタンも少ないのですぐわかりますね(笑)。
リアクションが多い日も少ない日もありますが、みんなからの反応が見えることで私もモチベーションをもらっている気がします。
フラットな関係構築を進めるMIRAI様。今後もSONRを通じて、時代のニーズに合わせたソリューションをご提供できましたら幸いです。
インタビューへのご協力ありがとうございました!