アナログ思考が強い業界におけるコミュニケーションの課題
御社ではなぜコミュニケーションツールが必要になったのでしょうか?
高橋様:弊社が事業を行う塗料や関連資材の業界では業界全体がアナログ思考が強く、2017年までは社外への連絡は電話やFAXで何とかなっていました。
しかし、アナログな方法での社内コミュニケーションには問題も多く、改善が必要な状況でした。
例えば、回覧物をまわしてもどこかで停滞してしまい、15名程度の単独事業所なのに全員が閲覧し終わるまでに半月以上かかることも珍しくありませんでした。また、業務指示を口頭で伝えても、全員に伝わる頃には全く異なる内容になっていたことも大きな課題でした。
そこで何とかしたいと思い、2018年からコミュニケーションツールの導入を開始しました。
口頭のコミュニケーションでは内容が変わってしまい、書面の回覧では時間がかかっていたのですね。回覧に時間がかかっていたのは、外出が多い業種だからという理由ですか?
高橋様:いいえ、意識の問題です。
弊社は、お客様からの問い合わせやご相談、ご注文に応える形で業務のほとんどが成り立っています。こうしたリアクション型の業務が全体の9割ぐらいです。ですから、どちらかというと受け身でいることで仕事がスムーズに進むことも多いんです。
しかし、当時は情報共有に関しても受け身になっている社員が多く、回覧物に回覧の期限を「1週間」と記載しておいても大きな効果はありませんでした。
期限を明記していても、回覧に時間がかかっていたのはどのような心理からだったのでしょうか?
水田様:「そのうち誰かがやってくれるだろう」という意識があったのだと思います。
対外的な業務ではメリットのあった受け身の姿勢が、社内コミュニケーションの場面では裏目にでてしまったのですね。
伝言ゲームのようになった情報伝達の結果、社風が悪くなってしまった
ー 口頭での情報伝達ではどんな課題があったのですか?
高橋様:伝言ゲームのようになり、情報が正しく伝わらないという課題がありました。特に代表である私の発言は、不満を持つ社員の感情バイアスにより、本来の意図とは異なる内容で伝わることもありました。その結果、社風の悪化を招く原因になってしまったんです。
以前の社風を一言で表現すると、すさんでいましたね。
情報が正しく伝わらない結果、社風にも大きく影響するような課題となったのですね。SONRを導入するまでに、他のツールは試されましたか?
高橋様:はい。これらの課題を何とかしたいと思い、2018年に導入したのが大手ビジネスチャットサービスでした。
大手ビジネスチャットサービスを使い、社員同士で情報共有をしたり、私がメッセージを全社員に向けて同時送信することで、アナログな情報伝達に起因していた課題は徐々に緩和しました。
しかし、大手ビジネスチャットサービスでも解決しきれない新たな課題がいくつかあり、大手ビジネスチャットサービス導入後から数ヶ月目にSONRに切り替えました。
まずは他のツールを試された上で、SONRへ切り替えたのですね。SONRの導入を決めた背景にはどのようなことがあったのでしょうか?
高橋様:SONRを知ったのが、大手ビジネスチャットサービスを導入してまだ3ヶ月しか経っていない頃でした。
「SONRは複雑な機能を省いたシンプルな作りで、中小企業にも使いやすい」との説明を受けて、いいなと思いました。
ただSONRの良さを知ったとはいえ、一度導入した大手ビジネスチャットサービスからSONRへと切り替えるには、よほどの確信がないと困難でした。
その後の数ヶ月でさらに検討を重ね、「時系列ツールでは解決できない課題をSONRなら解消できそう」という理由でSONRに切り替えたのです。
2018年8月にSONRを導入し、現在5年半になります。
アナログ思考の強い業界にいる企業や人が、非常に共感できるストーリーではないかと思います。これまでの経緯を詳しくお話しくださりありがとうございます。
有給休暇の取得状況も共有し、積極的に休みやすい職場に
SONRを導入して5年半目になりますが、どんなシーンで使っていますか?
高橋様:受注や顧客情報、機材使用のスケジュール、有給取得などの勤務情報や社長方針の共有などです。
主にどのシーンで使われることが多いのでしょうか?
水田様・岡村様:受注情報の共有で使うことが多いですね。
以前は受注情報の共有はどのように行っていたのですか?
高橋様:電話のやりとりです。
弊社は塗料の卸売がメインなので、ペンキの注文を受けることが多くあります。ただ、ペンキの色番号がアルファベットや数字の組み合わせで……。電話での伝達では「BとD」の聞き間違いなども起きがちで、ペンキを現場で塗ってからまったく違う色が届いていたことに気づくケースもありました。
SONRのようなコミュニケーションツールでは、書面に残せるので発注ミスの防止に役立っています。
以前は、電話やメモ書きの回覧で済ませていましたが、ボードごとに話題を分けられるSONRなら、着信過多になることなく関係者に一斉に情報共有できる点もいいですね。
それは大変ですね!その後のフォローにも多くの労力やコストもかかりますし。機材使用のスケジュール共有についてはいかがですか?
水田様:弊社が所有している2トントラックの使用スケジュールをSONRで共有しています。
アナログなスケジュール管理だった頃は、ダブルブッキングが起きることもありました。使いたかった時にトラックが使えないと、配達を予定していたお客様にも迷惑がかかりますし、そのお客様だけでなくその後の予定にも影響が出てしまいます。
スケジュールをSONRで共有するようになった今は、ダブルブッキングはほぼなくなりました。
気になったのが、有給取得の情報共有です。御社ではどのような使い方をされているのですか?
高橋様:働き方改革の一貫で、弊社では有給休暇の取得を推進しているんです。ですので、どの社員がいつ、どのくらい有給休暇を取得する予定かということもSONRで共有しています。
予定表を見て、あまり休んでいない人がいれば「そろそろ⚪︎⚪︎さんを休ませてあげたら」という声かけもできるようになりました。
岡村様:誰がいつ、どんなペースで有給休暇を取得しているかわかるので、「次は私も申請できるかな」と思えます。
誰がいつ休むという予定もわかるので、業務に急な穴があくこともなく、事前に心の準備ができています。
SONRを使えば、普段声の小さい人の発言も平等に汲み取れる
その他に、SONRを使った印象的なやり取りはありますか?
高橋様:弊社では業務柄、発言を遠慮しがちな人も多いのですが、あまり発言しないけれども影でコツコツと頑張っている社員もいます。そうした人の発信も平等に汲み取れるのがSONRの良さかと思います。
例えば、現場には声の大きな人と小さな人がいます。声の小さな人は声の大きな人にかき消されて影が薄くなってしまうことも多い。そうした時には感情バイアスも働きやすい。
SONRを活用するようになって、声の大小に関わらず社員全員に平等に発言の機会ができたことは大きいと思います。
業務では外出も多いのですが、その人がその日どんな景色を見てきたのかということも広く知られずに終わってしまうこともあります。弊社では、現場で見た場面なども写真に撮ってSONRで共有してもらうようにしています。
岡村様:社内イベントの様子や仕事中に撮影したほっこりした写真など、何気ない日常の風景をSONRにアップするようにしています。こうした雰囲気の写真をみんなで集めて共有できるのもとてもいいと思います。
何気ない日常の写真は仕事の息抜きにもなりますね。コミュニケーション方法を変えたことで、社風の改善や働き方改革の後押しになっている様子をお伺いできて嬉しく思います。
今後もより良いコミュニケーションのお手伝いができるツールとして、お役に立てればと思います。
インタビューへのご協力ありがとうございました!