働き方改革のデメリットとは?働き方改革を円滑に進めるためのポイント
2019年に施行された働き方改革は、「労働時間の是正」「雇用形態に関わらない公正な待遇」「多様で柔軟な働き方の実現」の3つの柱をもとに、さまざまな取り組みが行われています。
働き方改革には、長時間労働の解消や非正規社員と正社員との格差解消などのメリットがあるということはご存じの方も多いと思いますが、反対にデメリットについては、あまり知られていないかもしれません。
そこで本記事では、働き方改革を行う理由とあわせて、働き方改革を行うことによって起こり得るデメリットについてまとめていきます。
目次
働き方改革を行う理由やその背景
働き方改革を行う理由の一つに「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」があります。
日本では、少子高齢化による生産年齢人口が減少傾向にあり、労働力の減少が見込まれています。
生産年齢人口とは、15歳以上65歳未満の人々のことを指し、経済活動を支える中心となる人々のことです。
生産年齢人口が減少してしまうと、企業は労働力不足となるほか、日本の高齢者の増加によって労働力人口は高齢化しながら減少していくことが予想され、国の経済成長に影響が出る可能性が高まります。
そのため、生産年齢人口の減少を解決する糸口として「多様な働き方の実現」が求められています。
多様な働き方とは、具体的にテレワークやフレックス制度など、時間や場所にとらわれずに仕事をする働き方のことです。
育児や介護などといった事情に応じた多様で柔軟な働き方をし、働く人がより良い生活ができることを目指します。
働き方改革の3つの柱
働き方改革は、以下3つの柱を中心にさまざまな制度が実施されています。
①労働時間の是正
②雇用形態に関わらない公正な待遇
③多様で柔軟な働き方の実現
ここでは、それぞれの柱について詳しく解説していきます。
労働時間の是正
長時間労働による健康被害や過労死が問題視され、働き過ぎを防止するために、時間外労働に上限を設けるなどのいくつかの指標が定められました。
時間外労働に上限を設けることで働き過ぎを防止するのはもちろん、プライベートと仕事のバランスを図り、仕事へのモチベーションと日常生活を充実させることを目指します。
雇用形態に関わらない公正な待遇
企業の雇用形態は、大きく正規雇用と非正規雇用があり、日本では両者の待遇差が課題となっています。
大きな格差を生む原因のひとつが賃金の差で、正規雇用と非正規雇用それぞれが行っている業務に大きな差異がないにもかかわらず、収入差があるというケースも。また場合によっては、正社員よりも賃金の安いバイトやパートの方が優秀で、現場で活躍していることもあります。
このような格差を埋めるための施策のひとつが同一労働同一賃金で、仕事の内容が同じであれば正規雇用の社員と同等の給与を支払うべきだという改革が行われています。
多様で柔軟な働き方の実現
最近では、会社へ行って仕事をするという勤務形態だけではなく、「出社をせずに働く」という新しい働き方が大きく注目されています。
例えば、「家族との時間を大切にしたい」「生活や趣味の時間をもっと持ちたい」といった考えを持つ人にとって、テレワークやフレックス制度を行っている企業は魅力的に映る場合が多いです。
また柔軟な働き方の導入は、「家庭の事情があり働きたくても働けない…」などという方達へのアプローチにも効果的です。
柔軟な働き方を推進している企業は、生活と仕事の調和を図りたいという人にとって魅力的な取り組みで、「この企業でずっと働きたい!」と思われやすく、優秀な人材の確保や離職防止が期待できます。
いいことばかりではない!働き方改革にはデメリットも…
「働き方改革のメリットとその必要性とは?会社・社員それぞれの視点から解説」の記事で、働き方改革のメリットについてお話しましたが、多様な働き方を実現することによって生じるのはメリットばかりではありません。
「企業」と「社員」それぞれの視点から見たデメリットも存在します。
働き方改革によって長時間労働などが解消されたことは、労働者側から見ると喜ばしいことかもしれません。
しかし、だからといって必ずしも業務量が削減されるわけではないため、業務量と労働時間のバランスに悩む会社も多々存在します。
このように、働き方改革はメリットだけではなくデメリットもいくつかあります。
そこで次の章からは、企業と社員それぞれの視点から見たデメリットをご紹介します。
会社側からみた働き方改革のデメリット
ここでは会社側から見たデメリットをまとめていきます。
生産性や利益の低下
残業時間の規制やテレワークやフレックス制度などの柔軟な働き方を認めることによって生産性が悪くなりやすくなり、利益が低下するデメリットがあります。
具体的には、残業時間の見直しをすると単純に稼働時間が減るため、今まで残業時間を含めて仕事を完遂させていたものができなくなったり、また、多様な働き方のひとつであるフレックス制度を導入した場合、従業員一人ひとりが自己裁量で出勤時間を決めるため、高い自己管理能力が問われることになります。
そのため、自己管理が苦手な社員だと、自分に甘くなったり、集中力が途切れがちになったりしてしまい、結果的に生産性の低下につながってしまう場合があります。
社内規約の見直しが必要
働き方改革を行うためには、社内規約を根本的に見直す必要があり、ある程度まとまった時間をとって社内規約の改定をしなければいけません。
社内規約の改定は、従業員の意見を聞きながら改訂案を作成し、就業規則や意見書などを所轄の労働基準監督署へ提出するなどの作業が必要になります。
そのため、企業側は通常業務をこなしながら社内規約に関する作業が発生し、場合によってはそれが負担になることが考えられます。
社員からみた働き方改革のデメリット
ここでは社員側から見たデメリットをご紹介します。
残業が減り収入が下がる可能性がある
働き方改革によって長時間労働が見直されると、自然と残業が少なくなります。
そのため、これまで基本給に加えて残業代をもらっていた社員は収入が減り、その結果、生活や娯楽のための費用が不足してモチベーションの低下につながりやすくなります。
企業側にとっては人件費が抑えられるというメリットがありますが、従業員側からすると収入が減り、モチベーションや生産性が下がってしまう恐れがあるため、企業側は従業員の声に耳を傾けることが大切です。
従業員の負担増加
働き方改革で残業時間を規制しても、従業員の業務量は基本的には減ることがありません。
そのため、家に仕事を持ち帰ったり自発的にサービス残業をしてしまったりなど、かえって従業員一人ひとりの負担が増えてしまうというデメリットが生じやすくなります。
一部の従業員に負担が偏ってしまうと、その人が不満やストレスを抱いてしまい、生産性やモチベーションの低下につながりやすくなるため、企業側は従業員全体のバランスを考え、従業員の人数を増やしたり配置換えを検討したりするなどの調整が必要です。
テレワークなどを導入した場合は管理がしづらい
多様で柔軟な働き方のひとつに在宅勤務やテレワークがあり、それらを実施するとオフィスに出社をする機会がなくなるため、勤怠や仕事の進捗などの管理がしづらくなるというデメリットが考えられます。
企業側にとっては従業員が業務を行う姿が見えないため、情報共有しづらくなったり必要なフォローができなくなったりする場合も。
適切な管理をするためには、進捗状況の確認やコミュニケーションが円滑にとれるツールの導入を検討するなどの対策が必要になります。
働き方改革によるデメリットを解決するポイント
働き方改革は「労働時間の是正」「雇用形態に関わらない公正な待遇」「多様で柔軟な働き方の実現」の3本柱をもとに、従業員にとって働きやすい環境づくりを目的としています。
しかし実際は企業や従業員の負担が多く、取り組む上でさまざまな課題に直面します。
そこでここでは、働き方改革を円滑に進めるためのポイントをまとめます。
企業と従業員の意識の差
働き方改革は企業側や上層部だけが取り組めばよいものではなく、従業員一人ひとりが納得して、それぞれが意識を変えて取り組む必要があります。
そのため企業側は、働き方改革に必要な「根拠」や「働き方改革を行うことで得られるメリット」をセットで、従業員に伝えるなどの工夫が必要です。
会社や従業員が抱える働き方改革の課題やデメリットの分析
働き方改革を円滑に進めるためには、課題をしっかりと洗い出すことが大切です。
例えば、長時間労働の解消への取り組みが実施された場合、ただ単に残業を無くしたり就業時間の短縮を行ったりするだけでは、社員の負担は軽減されません。
むしろ限りある時間の中でタスクをこなそうとして、仕事が雑になったりプレッシャーに感じたりすることが考えられます。
そういった状況を改善するためには、従業員に話を聞き実情を調査したり、細かな課題を汲み取とり、対策を立てる必要があります。
業務効率化ツールを導入する
働き方改革が進む現代において、限られた時間を有効に活用し仕事の生産性を高めるためには、業務効率化ツールを導入するのもひとつの方法です。
ほとんどの業務効率化ツールの機能には、チャットやタスク管理機能がついているため、これまでと変わらない形で、仕事に必要な情報共有やコミュニケーションがとれます。
業務効率を上げるなら「SONR」がおすすめ
働き方改革によって在宅勤務やテレワークを導入する場合、まずはコミュニケーションツールを活用するのがおすすめです。
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