中小企業でのテレワーク導入と就労事例
最近よく耳にするテレワーク(リモートワーク)。働き方改革や東京オリンピックでの混雑緩和対策で関心が高まっています。
弊社でもテレワーク勤務可能な制度を導入し、実践してきました。少しずつ社内でのテレワーク実践事例が増えてきて、課題やメリット・デメリットが見えてきたため、テレワーク導入のために行った取り組みと社内事例をご紹介いたします。
目次
テレワークとは
テレワークは働き方改革の取り組みの一つで、ITを活用して場所や時間にとらわれない働き方を指します。
育児や介護等の家庭の事情や地方在住で通勤が難しい優秀な人材を採用できるということで人材確保の面で注目されていましたが、最近では全社員に福利厚生の一環としてテレワークを可能とする企業が増えています。
テレワーク導入に向けて
現在、テレワークの普及率は13.9%とあまり高くはありません。
また、テレワークを導入するにあたり、考えられる課題がいくつかあります。
- セキュリティをどう確保するか
- 労務管理がしにくくなる
- 仕事をどう評価すれば良いかわからない など
従業員側にも、
「プライベートとのメリハリがなくなるんじゃないか」
「自宅だとだらけそう」
「逆に定時の切り替えができなくていつまでも仕事をしてしまいそう」
といったテレワークに消極的な意見を持つ者もいます。
こういった課題がテレワーク導入のネックになっていると考えられます。
しかし、弊社がこれらの課題を洗い出した時点ではまだ実際に問題になっているわけではなかったため、どのように解決すれば良いのかが見えてきませんでした。
そこで「リモートワーク・エクスペリエンス」を実施し、全社員がテレワークを体験することにしました。
「リモートワーク・エクスペリエンス」とは
全社員が月1回、オフィス以外の遠隔で勤務する制度で、テレワークをしたい人もしたくない人も全員が体験します。
リモートワーク・エクスペリエンスにあたって業務環境を見直し、次のようにシステムやガイドラインなどに加え、テレワークでの業務環境を整えました。
会社からPC支給
会社からMacBookを支給し、テレワークをする際は会社支給のPCを使うように徹底しました。
PCを支給する際に、事前にセキュリティ対策をしておけば、在宅での勤務でも安心です。
IP電話の導入
テレワーク導入で困るのが、電話対応です。弊社ではIP電話を導入し、各社員のスマホに電話を転送できるように設定しました。
勤怠管理にクラウドサービスを導入
テレワーク時の勤怠管理については、スマホから打刻ができるようにクラウドサービスを導入。従来のタイムカードをクラウドにすることで、どこでも業務が行なえるように環境を整えました。
データ管理方法の徹底
データ管理には、クラウドストレージサービスの「Dropbox」を活用。仕事で使うファイルは「Dropbox」上で編集、保存するよう徹底しました。
実際に、テレワーク時に活躍しているクラウドサービスは次の記事でご紹介しています。
社内コミュニケーションの環境整備
テレワークでの一番の課題は社内コミュニケーションです。
弊社では、連絡事項や仕事の依頼、そして情報共有は社内コミュニケーションツール「SONR」を利用。文字だけでは伝わりにくい相談等はオンラインミーティング「Zoom」を使うように社内ルール化しました。
自宅の環境整備補助
テレワークで在宅勤務をする場合、デスクや椅子がないと長時間パソコンの前に座り続けることが辛いとの声が社員より上がったこともあり、自宅での業務環境を整えるためにデスク等の購入補助の制度を整備しました。
テレワークのスタイルは大きく分けて2つ。
従業員の自宅で仕事する在宅勤務と、営業職で客先に訪問する移動の間に行うモバイルワークです。それぞれ自分に合ったスタイルでテレワークを体験しました。
このようにしてリモートワーク・エクスペリエンスを半年間続け、全社員にアンケートを取り不便なところを改善してきました。実際に声の多かったテレワークのメリットとデメリットを次にまとめています。
テレワーク導入のメリット
通勤時間がない
・満員電車のストレスがない
・保育園の送り迎えがしやすくなる
・災害で通勤が困難な時も仕事ができそう
効率が良い
・営業先や移動中など隙間時間に仕事ができる
通勤時間がないことのメリットは聞いていましたが、実際に体験するとよくわかりました。特に子育て中のメンバーは「保育園の送り迎えがこんなに楽になるとは!」と驚いていました。
また、一度テレワークをしていれば、災害時など急に出社できなくなった時も自宅勤務に切り替えられやすくなります。
テレワークのデメリット
環境を整備する必要がある
当然ですが、自宅や出先からも仕事ができる環境をつくる必要があります。通信環境が不安定だったり、在宅勤務の場合は自宅に作業スペースがなかったりすると業務に集中できません。
自己管理力に左右される
目の届きにくいテレワーク、特に在宅勤務では仕事とプライベートを切り替え、責任感を持って仕事を進めることが重要です。
不公平感が生まれる
社内の掃除や電話・接客応対など、オフィスの業務を担当するメンバーに偏りができるため、不公平感が出ないよう工夫が必要です。
一方、オフィスに出勤しているメンバー同士、口頭で話を進めてしまい、テレワーク中のメンバーに情報が共有されていないと不信感にも繋がります。
コミュニケーションへの不安
対面でのコミュニケーションが少なくなるため、特に新人への教育に課題があります。「わからないことがあるけど、今聞いて良いかわからない、聞きづらい」といったことが起こりやすく、指導する側からも問題が起きているかどうか把握しにくくなります。
共通しているのはコミュニケーションが不足しがちになる点です。毎日、進捗報告をさせてどういった業務をどれぐらいのペースで進められているか、問題が起きていないかを把握できるようにしたほうが良いでしょう。一日一回、ウェブ会議をするなど話ができる環境を設ける方法も考えられます。
また、進捗報告以外にも適切に情報共有をすることは業務のムダをなくし、生産性が向上するメリットがあります。業務効率化に効果的なので、情報共有の習慣化は実践していきたいですね。
テレワーク導入:就労事例
リモートワーク・エクスペリエンス終了後、本格的にテレワークを制度として導入しました。
現在、テレワーク勤務をしている社内のケースをご紹介します。
育児との両立
時短勤務のほか、月6日、在宅勤務しています。
○メリット
・通勤時間がない分、余裕を持って保育園の送り迎えができる
・参観などの行事参加のために全休を取る必要がない
・人材確保に有利。在宅勤務であれば就労可能な層を採用できる
沖縄への移住
「いつか沖縄に住みたい」という夢を叶え、冬の2ヶ月間だけ沖縄に移住しました。
→「夢の沖縄へ短期移住!リモートワーク!準備編」
→「夢の沖縄へ短期移住!リモートワーク!ワークスタイル編」
○メリット
・仕事を続けながら自分の好きな土地に長期滞在が可能
災害・緊急時
台風や大雨・大雪、地震など災害の多い日本では出社が困難な日がしばしばあります。交通機関がストップして帰宅できなくなる「帰宅難民」が問題になっていますが、テレワークなら外出せず自宅での就労が可能です。
災害時以外では弊社高畑が足に大やけどを負った際、テレワークをしていました。
→「ケガの巧妙?!テレワークの利点、難点を実体験」
※病気の時はちゃんと休んで治療に専念する決まりです。
○メリット
・出社が困難な時でも欠勤せずに就労できる
・台風など、実際にどうなるかわからない場合でも早い段階でリモートワークに切り替えられる
営業とテレワーク
営業職の場合、オフィスから離れた場所での打ち合わせ予定が入ることがあります。そういった際に営業先でタイムカードを打刻できたり議事録を上げられたりすると、いちいちオフィスに顔を出す必要がなくなります。
客先近くのカフェやコワーキングスペース、移動中の新幹線の中で…隙間時間に報告書を作ったりお客様にメールを送ったりできると効率的です。
また最近よく聞く「ウェブミーティング」は全てインターネットで完結するため、遠方の顧客へのサポートもフットワーク軽く対応することが可能です。
○メリット
・時間や場所に縛られない活動ができる
・移動の負担が軽くなる
テレワーク導入で活躍する社内コミュニケーションツール「SONR」
弊社ではテレワークの事前申請や就労報告にシンプルで簡単な社内コミュニケーションツール「SONR」を使っています。
弊社が開発・運営している社内コミュニケーションツールです。
・300名まで2万円/月、導入しやすいコスト
・導入の訪問サポートやオンラインサポートなどの支援
・多くの業種での生産性向上と業務効率化の実績
など、ITツールの導入が不安な企業でも安心して導入いただけます。
1. 「リモートワークボード」にてテレワークする日を申請
2. テレワークでの就労前にその日やる予定の仕事内容を書き込む
3. 就労後、完了した作業を報告する
上記のフローを作り、コミュニケーションを取りながら仕事を進めています。また会議の議事録や営業報告などもSONRで行っていて、オフィスにいなくても情報共有ができる仕組みづくりをしています。